ゲンロン 大森望 SF創作講座 第7期#6第6回

「ゲンロン 大森望 SF創作講座」の授業です。担当講師は法月綸太郎先生、井手聡司先生、大森望先生です。

【スケジュール】

1限 19:00-20:00:講義

2限 20:10-22:10:梗概講評会

3限 22:20-23:20:実作講評会

【梗概講評会】

「嘘つき、詐欺師、デマゴーグetc. が出てくる物語を書いてください」

 嘘や騙りというとミステリの専売特許と見られがちですが、今やChat GPTがしれっと嘘をつく(誤った回答を生成する)時代です。テクノロジーの進歩が虚実の境目をなし崩しにしていく世界では、ホラ吹きやぺてん師がフィクションの中で果たす役割もアップデートされて然るべきでしょう。

 昨年の宮内悠介氏の講義では「最小限の嘘で最大限の効果を」という課題が出ましたが、今回は常習的・反復的に嘘をつくキャラクター(大まかな意味で)を軸にストーリーを展開させてください。設定としての「嘘」そのものより、嘘やデマを発する人/物たち(あるいはそれに騙される者ら)が演じるドラマに力点を置くということです。

 嘘つきの範囲や定義は自由。荒唐無稽なホラ話(トール・テール)を提出する場合には、語り手のキャラ立ちに腐心してください(例:『レ・コスミコミケ』のQfwfq)。SFならではの騙し合いやどんでん返しはもちろん、本格ミステリ流のフェアプレイを笑い飛ばすような、大胆不敵&すっとぼけた語り口も大歓迎です。

(法月綸太郎)

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ゲンロン 大森望 SF創作講座 – ゲンロンスクール
SF創作講座2023課題 – 超・SF作家育成サイト
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法月綸太郎 Rintaro Norizuki

1964年、松江生まれ。京都大学法学部卒。在学中は京都大学推理小説研究会に所属。1988年に『密閉教室』(講談社)でデビュー。2002年「都市伝説パズル」で第55回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。2005年『生首に聞いてみろ』(角川書店)で第5回本格ミステリ大賞を受賞。2013年より本格ミステリ作家クラブの会長を務める。『頼子のために』(講談社)、『一の悲劇』(祥伝社)、『ふたたび赤い悪夢』(講談社)、『ノックス・マシン』(角川書店)など著作多数。

井手聡司(早川書房) Satoshi Ide

1971年、東京都生まれ。青山学院大学SF研究会OB。2006年に早川書房へ入社し、編集者として一貫してSFを担当。近年の担当書籍は、山本弘、小林泰三、上田早夕里、月村了衛、宮内悠介、藤井太洋、芝村裕吏、籘真千歳および海外SF展開中。1996年に小松左京、松井孝典、金子隆一による火星探査パネルの司会をつとめたことが生涯の自慢。賞罰なし。

大森望 Nozomi Ohmori

1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。