ゲンロン 大森望 SF創作講座 第8期#2授業 2

「ゲンロン 大森望 SF創作講座」の授業です。担当講師は柴田勝家先生と溝口力丸先生と大森望先生です。

【スケジュール】

1限 19:00-20:00:講義

2限 20:15-23:00:フラッシュフィクション課題講評会

【第2課題】

「『過剰』は楽しい?」

 フラッシュフィクションを書く際に便利な技の一つに『過剰』があると思っています。普遍的に知られている概念を『過剰』にするだけで、短い話の中でも面白みを出せます。たとえば、信じられないほどに美味い食べ物、大きすぎる建造物、めちゃくちゃに強い生き物、ありえない時代背景、圧倒的なこだわり……。しかも、そうした『過剰』を入れ替えることで、今まで見たこともない概念を生み出すこともできます。

 ただし、この技は諸刃の剣。とてつもない『過剰』を設定したために、短い話の中で扱いきれずに投げっぱなしで終わることもあります。綺麗に投げれば作品になるものの、尻切れトンボになっては元も子もない。このお題を通して『過剰』を適切に処理する方法を身につければ、あらゆる場面で使える最強の技になると思います。なお、これも『過剰』な褒め言葉。

(柴田勝家)

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ゲンロン 大森望 SF創作講座
SF創作講座2024課題 – 超・SF作家育成サイト

柴田勝家 Katsuie Shibata

1987年、東京生まれ。成城大学大学院文学研究科日本常民文化専攻博士課程前期修了。
在学中の2014年、『ニルヤの島』で第2回ハヤカワSFコンテストの大賞を受賞し、デビュー。2018年に「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」で第49回星雲賞日本短編部門を受賞。2021年に「アメリカン・ブッダ」で第52回星雲賞日本短編部門を受賞。
近著は『走馬灯のセトリは考えておいて』(早川書房)。戦国武将の柴田勝家を敬愛する。

大森望 Nozomi Ohmori

1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。