「ゲンロン 大森望 SF創作講座」の授業です。担当講師は柴田勝家先生と溝口力丸先生と大森望先生です。
【スケジュール】
1限 19:00-20:00:講義
2限 20:15-23:00:フラッシュフィクション課題講評会
【第2課題】
「『過剰』は楽しい?」
フラッシュフィクションを書く際に便利な技の一つに『過剰』があると思っています。普遍的に知られている概念を『過剰』にするだけで、短い話の中でも面白みを出せます。たとえば、信じられないほどに美味い食べ物、大きすぎる建造物、めちゃくちゃに強い生き物、ありえない時代背景、圧倒的なこだわり……。しかも、そうした『過剰』を入れ替えることで、今まで見たこともない概念を生み出すこともできます。
ただし、この技は諸刃の剣。とてつもない『過剰』を設定したために、短い話の中で扱いきれずに投げっぱなしで終わることもあります。綺麗に投げれば作品になるものの、尻切れトンボになっては元も子もない。このお題を通して『過剰』を適切に処理する方法を身につければ、あらゆる場面で使える最強の技になると思います。なお、これも『過剰』な褒め言葉。
(柴田勝家)
柴田勝家 Katsuie Shibata
1987年、東京生まれ。成城大学大学院文学研究科日本常民文化専攻博士課程前期修了。
在学中の2014年、『ニルヤの島』で第2回ハヤカワSFコンテストの大賞を受賞し、デビュー。2018年に「雲南省スー族におけるVR技術の使用例」で第49回星雲賞日本短編部門を受賞。2021年に「アメリカン・ブッダ」で第52回星雲賞日本短編部門を受賞。
近著は『走馬灯のセトリは考えておいて』(早川書房)。戦国武将の柴田勝家を敬愛する。
溝口力丸(早川書房) Rikimaru Mizoguchi
1991年生まれ。2014年より早川書房『SFマガジン』編集部所属。担当書籍にチャック・パラニューク『ファイト・クラブ〔新版〕』(ハヤカワ文庫NV)、『ハヤカワ文庫SF総解説2000』(単行本)、柴田勝家『クロニスタ 戦争人類学者』『ニルヤの島』(ハヤカワ文庫JA)など。
大森望 Nozomi Ohmori
1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》、《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。