タイとロシアの新しい文学──ポストモダン以後の言葉とアイデンティティ

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【イベント概要】

タイとロシア、2つの国はいっけんなんの関わりもない。
しかし、よく見てみると、重大な共通点があることに気づく。
タイはヒンズー教文明圏、ロシアはギリシア=キリスト教文明圏と、
それぞれ大きな文明圏の周縁にありながら、どちらも「大国」としてプライドを保ち続けてきた国なのだ。
じつは日本も同じ条件を抱えている。

タイとロシアは、時期は違えど、どちらも文学の後発国である。
そしてどちらの国でも現代文学が力を持ち続けている。
いまだに文学と政治が近い。

これらの国で新しい文学はどのように生まれ、どのように読まれているのか。
ポスト・ポストモダン文学のいま、どのような流れがあるのか。
タイやロシアの文学を日本で翻訳し、議論することは、いま、どのような意味を持っているのか。
文学から見る「地域大国」論ができればと思う。

『ゲンロン』にプラープダー・ユン『新しい目の旅立ち』の翻訳を連載中の福冨渉と
ウラジーミル・ソローキンの翻訳者でロシア現代文学の第一人者・松下隆志が論じる
最新の現代文学論。司会はゲンロンの上田洋子。

プラープダー・ユン、ソローキンの新作をはじめ、最新の文学が俎上に上がる
タイ・ロシアイベント第2弾!

 
▼▼▼ 福冨渉さんからタイ現代文学年表が届きました!! ▼▼▼
 
201612

 
▼▼▼ 松下隆志さんからプレゼンデータの一部が届きました!! ▼▼▼
 
201612

 
▼▼▼ 福冨渉さん、松下隆志さんからメッセージが届きました!! ▼▼▼

2000年代初頭、タイに一過性のポストモダン文学ブームが訪れました。
しかし、その直後の政治的対立が国内を分断すると、文学もいっきに政治に引き込まれていきます。

対立の渦中にいた作家たちが選んだのは、1970年代の政治闘争に回帰するような、アジテーションとしての詩と、対立のありのままを描くリアリズム小説でした。その混沌の中心から距離を置く作家たちは、小説を通じて、日常に入りこむ政治、政治が入りこむ日常を描くようになります。かたや、政治の季節に疲弊した若手作家たちは、諦念と無力感に満ちた作品を発表するようになりました。

近代文学の成立からまだ1世紀と経たないタイですが、2000年代の文学的変動は、この100年でもっとも激しいものかもしれません。
いっぽうで、すべて「政治」を起点に語らなければいけない文学的状況には、ある種の閉塞感・停滞感を感じます。ここに、松下隆志さんからお話いただく現代ロシア文学の動きと呼応するものがあるのかもしれません。

辺境・周縁の大国であるロシアとタイの「新しい文学」を比較して、そこに新たな文学的価値を探る今回のイベント、どうぞお越しください!
(福冨渉)

* * * * *

ソ連崩壊後、90年代のロシア文学にはポストモダンの嵐が吹き荒れましたが、いわゆる「プーチンの時代」と言われる2000年代以降は、若い世代を中心とする「新しいリアリズム」など、社会と同様に文学でも保守回帰の動きが強まっています。

今回のイベントでは、ロシアのポストモダン文学の重要な先駆者で、『ゲンロン6・7』のロシア現代思想特集の影の主人公だった作家マムレーエフ、彼が創始した地下文芸サークルとドゥーギンの関係、リベラルを挑発する過激な愛国主義的言動を繰り返すプリレーピンの魅力、ソローキンの長編『テルリア』における観光の問題など、本誌では扱いきれなかった論点を深く掘り下げていきます。

同時に、ともに文化の周縁に位置し、「大国」としてのアイデンティティを有する現代タイ文学との比較を通して、意外な共通点や両文化の新たな一面の発見に繋がればと思います。
(松下隆志)

 
▼▼▼ トークテーマとなる予定の作家・キーワードリスト ▼▼▼

◎福冨渉さんから頂きました!!
プラープダー・ユン
ニワット・プッタプラサート
アイダー・アルンウォン
プー・クラダート
P.S. Publishing
亡霊文学賞

◎松下隆志さんから頂きました!!
ユーリー・マムレーエフ
エドゥアルド・リモーノフ
ウラジーミル・ソローキン
ザハール・プリレーピン
ミハイル・エリザーロフ

 

【イベント後記】

 

当日のtweetのまとめはこちら

togetter

福冨渉 Sho Fukutomi

撮影=Wichaya Artama
1986年東京生まれ。タイ文学研究者、タイ語翻訳・通訳者。鹿児島大学グローバルセンター特任講師。著書に『タイ現代文学覚書』(風響社、2017年)。プラープダー・ユン「新しい目の旅立ち」を批評誌『ゲンロン』に翻訳連載中。共著書に『タイを知るための72章』(明石書店、2014年)や『アピチャッポン・ウィーラセタクン:光と記憶のアーティスト』(フィルムアート社、2016年)など。

松下隆志 Takashi Matsushita

1984年、大阪生まれ。現代ロシア文学研究者、翻訳家。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。現在は日本学術振興会特別研究員。論文に「身体なき魂の帝国 マムレーエフの創作における〈我〉の変容」(『スラヴ研究』)、「ザハール・プリレーピン、あるいはポスト・トゥルース時代の英雄」(『ゲンロン6』)、訳書にウラジーミル・ソローキン『青い脂』(共訳)、『氷三部作』、『テルリア』(いずれも河出書房新社)などがある。2014年に第四回日本学術振興会育志賞を受賞。

上田洋子 Yoko Ueda

撮影=Gottingham
1974年生まれ。ロシア文学者、ロシア語通訳・翻訳者。博士(文学)。ゲンロン副代表。早稲田大学ほか非常勤講師。著書に『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド 思想地図β4-1』(調査・監修、ゲンロン、2013)、『歌舞伎と革命ロシア』(編著、森話社、2017)など。翻訳書に『瞳孔の中 クルジジャノフスキイ作品集』(共訳、松籟社、2012)、展示企画に「メイエルホリドの演劇と生涯:没後70年・復権55年」展(早稲田大学演劇博物館、2010)など。

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放送開始
2018/05/25 19:00
タイムシフト視聴終了
2018/06/01 18:00