“広く告げる”をやめた「広告」の新しい形──データベースが支配する世界で、欲望はどこにあるのか?

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【イベント概要】

現在、広告会社の人間が「広告」つまり「広く告げる」ことに大きな困難を抱えているのをご存知だろうか?「広告」と言えば文字通り「広く情報を告げる」ことによって人々の欲望を刺激する技術である。しかし成熟社会の到来&ネットの普及以降(google的な個別の情報最適化が進む中で)「みんなの欲望」を広告で喚起することが難しくなっている。その困難を最も象徴しているものとしてカンヌで開催される広告祭「Cannes Lions」の混乱が挙げられるだろう。世界中の広告クリエーティブの中で最も優れた作品を評価するこのアワード、実は2011年に「カンヌ国際広告祭」から「カンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバル」と名称を変えてしまったのである。広告業界の賞なのに「広告」という言葉が抜け落ちてしまったのだ。

では「広告抜きの広告」は今どこにあるのか?広告はどこに向かっているのか?この問いに答えるのは難しい。しかし今年一つの方向性/可能性がまさにカンヌの場で(なんと)日本人から示された。それはクリエーティブ・テクノロジストを名乗る菅野薫率いるクリエーティブチームである。今年菅野は広告の世界で最も優れた作品に贈られるチタニウム部門のグランプリに輝いた。菅野は元々テキストマイニングやデータベースなどの技術の研究をしていた出自を持つ。彼の作品は人間のライフログや、データベースの中から意味やストーリーを見いだし仕上げられる所に特徴がある。Copy、ArtだけでなくCodeも含めて表現するのだ。菅野は自動車の走行データや、国家が所有する様々なローデータなど、膨大なデータを巧みに可視化し、そこに「生のストーリー」を立ち上げる。それはもはや言葉(コピー)や記号が欲望を媒介する従来の「広告」ではない。

一方、マーケティングの世界でもリアルタイムに現れては消えて行く顧客の欲求を素早くデータとして可視化しながら、瞬時に対応することが重要になってきている。廣田はソーシャルメディアのリアルタイムの解析を通じて顧客の欲望の「今」を可視化する「リアルタイムマーケティング」という分野を開拓している。

本イベントでは、広告の世界で今起こっている変化を事例ベースで紹介しながら、「広告ではない広告の形」すなわち現在の人々の欲望のありかについて東浩紀と対話を行う。

 

【イベント後記】

 

 

http://genron-lectures.tumblr.com/post/100404247346/10-17

菅野薫 Kaoru Sugano

(株)電通 クリエーティブ・ディレクター / クリエーティブ・テクノロジスト
自然言語処理やデータ解析の研究開発業務を行いながら、国内および海外の商品サービス開発、広告キャンペーン企画などの業務に従事。テクノロジーやデータで人の心を動かす新しい表現方法を開拓している。本田技研工業インターナビ「CONNECTING LIFELINES」「RoadMovies」「Sound of Honda / Ayrton Senna 1989」、MIT Media Labとの協同研究、東京オリンピック招致プロジェクト、Perfumeのコミュニケーションデザインなど活動は多岐に渡る。Cannes Lions チタニウム部門グランプリ、D&AD Black Pencilなど多数受賞。

廣田周作 Shusaku Hirota

(株)電通 コミュニケーション・デザイナー
東浩紀のゼロアカ道場門下生。最終選考まで残るも就職を言い訳に決勝戦を断念。
(当時、期待してくれていた皆さんすみませんでした)。
電通に入社後はビッグデータ解析などを専門としリサーチャーとしてのキャリアを積む。2011年から、プランナーへ転向し、次世代のプランナーを育成するチーム「電通モダン・コミュニケーション・ラボ」を主宰。主にデジタル領域を中心に、様々な企業の事業のコンサルティングやコミュニケーション戦略の立案に従事する。著書に「SHARED VISION」(宣伝会議)

東浩紀 Hiroki Azuma

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。専門は哲学、表象文化論、情報社会論。著書に『存在論的、郵便的』(1998年、第21回サントリー学芸賞 思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』(2001年)、『クォンタム・ファミリーズ』(2009年、第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』(2011年)、『ゲンロン0 観光客の哲学』(2017年、第71回毎日出版文化賞 人文・社会部門)、『ゆるく考える』(2019年)、『テーマパーク化する地球』(2019年)、『哲学の誤配』(2020年)ほか多数。対談集に『新対話篇』(2020年)がある。

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放送開始
2015/12/03 00:00
放送終了
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放送開始
2014/10/17 19:00
タイムシフト視聴終了
2014/10/24 18:00