論壇の現在地#3批評と運動のあいだで──ゼロ年代、ロスジェネ、非モテ

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【イベント概要】

批評家の大澤聡がホスト役をつとめる討議シリーズ「論壇の現在地」。第3回のゲストは杉田俊介。
ロスジェネ論壇や非モテ論壇とはいったい何だったのか。いま、運動と批評はどのような関係を切り結ぶのか。
フリーターズフリー』や『ロスジェネ』といった批評誌に中心的に参加してきた杉田をむかえ、大澤とゲンロンの東浩紀が激論を交わす。

 

 
ゼロ年代半ば、論壇は急速にローカル化していきました。ついには、中心も輪郭も喪失してしまう。「ロスジェネ論壇」、「非モテ論壇」、あるいは「ニート論壇」はその象徴でしょう。それらを総括しうる場所に私たちは位置しているはずだし、その過去にすっかり蓋をして先を急いだところで耐えがたい出来事を方々に産み落とし続けるだけではないのかという時代認識が今回の企画には込められています――そのかぎりでは、「ブログ論壇」や「ネット論壇」を検討したミニ討議「『現代日本のネット2001-2016』のために」(『ゲンロンβ6』)とまったく同じ問題関心にもとづいている。そして、整理や紹介を要する程度には当時の雰囲気も条件も忘れられてしまっている。

そこで、反貧困やロスジェネ、ストリートをめぐる一連のムーブメント、その背景に貼りついていた社会と実存の布置、あるいはそれを語る言説のアングル、そして2010年代におけるそれらすべての行方……などに逐一検討を加えていくことが今回の課題となります。『フリーターにとって「自由」とは何か』(2005年)以降、「フリーターズフリー」で実践的な活動を展開し、一時期の沈黙を経て一転、ここ数年は堰を切ったように渾身の文化評論を立て続けに発表、たとえば近く『非モテの品格』を世に問う杉田俊介さんは、これ以上ない適任者でしょう。

1990年代日本の思想シーンを牽引した『批評空間』の第Ⅱ期終刊号の共同討議は「批評と運動」と題されていました(2000年4月)。その前後に示された「可能なるコミュニズム」の試行的実装化がどんな展開と顛末を見たかは周知のとおり。その未完のプロジェクトを土壌として、ありえた可能性を批判的に追求する批評や運動のスタイルがゼロ年代にはいくつか見られました。フリーターズフリーもそのひとつ。2000年前後の批評シーンの強烈なインパクトとトラウマとが杉田さんの批評/実践を支えていたことはあきらかです。その感覚は3歳下の私にもよくわかる。けれど、もう少し下の世代となるとほとんど情報すら共有されていないらしい(責任は私たちの世代にある)。今回のイベントをはじめいくつかの機会をとおして、そんなギャップが多少なりとも埋められ、新たな対話の場をセッティングする契機になればと願っています。

ゼロ年代から現在にいたる批評シーンを中心的に取りあげた共同討議「平成批評の諸問題2001-2016」(『ゲンロン4』)の内容をばっちり補完する議論となるはずです。最終的には、杉田さんが従事してこられた介護の現場をはじめ、当事者やマイノリティ、承認、弱さなどの各問題系、あるいは2010年代の社会運動(反原発やSEALDs)の動向、さらには個別のサブカル作品などへも議論の射程は随時自在に広げられていくのではないかと、個人的にはイメージしています。ご期待ください。(大澤聡)

 

『非モテの品格——男にとって「弱さ」とは何か』(集英社新書)
20161029-2

 

【イベント後記】


 

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togetter

大澤聡 Satoshi Osawa

1978年生まれ。批評家/メディア研究者。近畿大学文芸学部准教授。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。日本の思想やジャーナリズムの歴史的変遷を分析しつつ、現代社会やカルチャーに関する批評活動も広くおこなっている。著書に『批評メディア論』(岩波書店)。編著に『1990年代論』(河出書房新社)、『三木清教養論集』(講談社文芸文庫)、『三木清大学論集』(同)、『三木清文芸批評集』(同)などがある。

東浩紀 Hiroki Azuma

1971年東京生まれ。批評家・作家。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。株式会社ゲンロン創業者。専門は哲学、表象文化論、情報社会論。著書に『存在論的、郵便的』(1998年、第21回サントリー学芸賞 思想・歴史部門)、『動物化するポストモダン』(2001年)、『クォンタム・ファミリーズ』(2009年、第23回三島由紀夫賞)、『一般意志2.0』(2011年)、『ゲンロン0 観光客の哲学』(2017年、第71回毎日出版文化賞 人文・社会部門)、『ゆるく考える』(2019年)ほか多数。

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2018/02/01 18:00
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