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【登壇者より】
最新刊である『系統体系学の世界』と『統計思考の世界』の2冊は昨年4月に出版した『思考の体系学』(春秋社)と合わせて一組の姉妹本と位置づけられる。
知識と思考をどのように整理し体系化するかをダイアグラム論の観点から論じた『思考の体系学』のうち、生物の体系学(分類と系統)について科学史と科学哲学から考察した『系統体系学の世界』は、現実世界の中で生きている個々の科学の人間臭い営みを照らし出している。
それと同時に、データに基づく推論のための理論と方法論を構築してきた統計学もまた、われわれ人間が手にした知識と知見を定量的に可視化することにより、偶然性と蓋然性に満ちた現世を生き延びるための指針を提示してきた。『統計思考の世界』の背後には、単なるデータ解析のツールに貶められかねない統計学にもう一度それにふさわしい役回りを演じさせたいという願望がある。
これら3冊の姉妹本の共通テーマは「体系」という一見とらえがたい理念へのまなざしである。
(三中信宏)
今回の三中さんの新刊で、三中体系学を構成する分類/系統/統計の三位一体が出揃ったのではないかと勝手に喜んでおります(もし四つ目があれば四騎士に訂正します)。今回のイベントが三中思考の世界への良きガイドとなるようがんばります。
(吉川浩満)
人はなぜいろんなものを集めて分類・整理したくなるのだろう。
例えば、数多いる生物を集めて分類しその系統を推定する。現在観察される種だけでなく、既にこの世からいなくなった過去の種も視野に入れて、生物の過去から現在の変遷を記したりもする。そこでは生物学だけでなく、いろんな諸学術が絡みあって一種の「百学連環」(©西周)をなしているかのよう。
三中さんの新著『系統体系学の世界――生物学の哲学がたどった道のり』(勁草書房)は、そうした学問領域が、どのように繁茂してきたかをマッピングしてみせてくれる得難い本。加えて面白いのは、一見理知的な学問も、営んでいるのは人間で、論争やら競争やらと、人間的、あまりに人間的な出来事抜きにはなされないところ。同書ではそうした様子もしっかり描かれています。
他方で、私たちはそれこそ各種の人間的な必要から、昨今あちこちで厖大なデータと向き合い、そこからなにかのご宣託を引き出そうとしたりもしているところ。もう一つの新著『統計思考の世界――曼荼羅で読み解くデータ解析の基礎』(技術評論社)は、やはり三中さんが長年教鞭をとってこられた統計学の広い世界について案内してくれる好著です。
今回のイヴェントは、この二冊の新著を中心に、系統学と統計学という二つの領域について三中さんからまとめて学んでしまおうという贅沢な機会なのです。三中さんの必殺技の一つである「曼荼羅(マッピング)」の技法も含めて、おおいに勉強しましょう。この二冊に書かれていることは、生物学に限らず、複数の要素が絡み合うややこしいプロジェクトに取り組む人などにもお役に立つこと請け合いです。予備知識は不要ですので、好奇心と筆記用具だけお持ちください。
(山本貴光)
【イベント概要】
三中信宏氏の『系統体系学の世界』(勁草書房)『統計思考の世界』(技術評論社)の刊行を記念して、大型イベントを開催。
膨大な情報、複雑なデータ、不確かな状況を前にして、人間はどのよう意思決定を行うべきなのか?
三中氏は、さまざまな事柄を「分類」し「系統」づけること、また「可視化」することで、いかに情報を解析し「読み取る」かを横断的に探ってきた気鋭の研究者。新刊『系統体系学の世界』では、生物体系学の変遷を考察しながら、科学と科学史・科学哲学のあるべき関係についても考察しています。
情報を体系化し、思考を明快にして、合理的な結論を導き出すこと。
文理や専門分野の壁を超えて、いまわたしたちの誰もが必要としているその課題へのヒントを、三中氏の体系学研究に探ります。
聞き手を務めるのは、山本貴光氏と吉川浩満氏。『ゲンロンβ』の共同連載「人文的、あまりに人文的」でも知られる博学人文研究者コンビです。
この3人のイベントは、昨年9月に行われた「分ける、つなぐ、で考える――分類と系統樹から見える世界」以来2度目。
それぞれの分野で「思考のあり方」を深く追求してきた3人による、ゲンロンカフェならではのエキサイティングな鼎談。
くれぐれもお見逃しなく!
【イベント後記】
当日のtweetのまとめはこちら!
三中信宏 MINAKA Nobuhiro
国立研究開発法人農研機構・農業環境変動研究センター 専門員/東京農業大学客員教授。
1958年京都市生まれ。東京大学大学院農学系研究科修了。農学博士。専攻=生物統計学・生物体系学。さまざまな事物の分類と知識の体系化を人間がどのように実行してきたのかを科学史と科学哲学そして情報可視化の観点から研究している。著書=『系統体系学の世界:生物学の哲学とたどった道のり』(2018年、勁草書房)、『統計思考の世界:曼荼羅で読み解くデータ解析の基礎』(2018年、技術評論社)、『思考の体系学:分類と系統のダイアグラム論』(2017年、春秋社)、『文化進化の考古学』(共編、2017年、勁草書房)、『系統樹曼荼羅:チェイン・ツリー・ネットワーク』(共著、2012年、NTT出版)など、訳書=マニュエル・リマ『THE BOOK OF CIRCLES — 円環大全:知の輪郭を体系化するインフォグラフィクス』(2018年、BNN新社)、同『THE BOOK OF TREES — 系統樹大全:知の世界を可視化するインフォグラフィクス』(2015年、BNN新社)など。
山本貴光 Takamitsu Yamamoto
1971年生まれ。文筆家・ゲーム作家。コーエーでのゲーム制作を経て文筆や教育に携わる。著書に『記憶のデザイン』(筑摩書房)、『マルジナリアでつかまえて』『投壜通信』(本の雑誌社)、『文学問題(F+f)+』(幻戯書房)、『「百学連環」を読む』(三省堂)、『文体の科学』(新潮社)、『世界が変わるプログラム入門』(ちくまプリマー新書)、『高校生のためのゲームで考える人工知能』(三宅陽一郎との共著、ちくまプリマー新書)、『脳がわかれば心がわかるか』(吉川浩満との共著、太田出版)、『サイエンス・ブック・トラベル』(編著、河出書房新社)など。翻訳にジョン・サール『MiND──心の哲学』(吉川と共訳、ちくま学芸文庫)、サレン&ジマーマン『ルールズ・オブ・プレイ』(ニューゲームズオーダー)など。目下は、東京科学大学教授、金沢工業大学客員教授。
吉川浩満 Hiromitsu Yoshikawa
1972年生まれ。文筆家、編集者、配信者。慶應義塾大学総合政策学部卒業。国書刊行会、ヤフーを経て、文筆業。晶文社にて編集業にも従事。山本貴光とYouTubeチャンネル「哲学の劇場」を主宰。
著書に『哲学の門前』(紀伊國屋書店)、『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である 増補新版』(ちくま文庫)、『理不尽な進化 増補新版』(ちくま文庫)、『人文的、あまりに人文的』(山本貴光との共著、本の雑誌社)、『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。』(山本との共著、筑摩書房)、『脳がわかれば心がわかるか』(山本との共著、太田出版)、『問題がモンダイなのだ』(山本との共著、ちくまプリマー新書)ほか。翻訳に『先史学者プラトン』(山本との共訳、メアリー・セットガスト著、朝日出版社)、『マインド──心の哲学』(山本との共訳、ジョン・R・サール著、ちくま学芸文庫)など。