ペンギンは私たちになにを教えてくれるのか──『南極探検とペンギン』刊行記念

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ゲンロンαにイベントのレポート記事を掲載しています。ぜひお読みください。
記事URL= https://genron-alpha.com/article20210817_02/

 

【イベント概要】

かわいらしい姿でわたしたちを魅了するペンギン。2本の脚で立ってよちよちと歩く姿は、どこか人間にも似ている。

ペンギン研究者のロイド・スペンサー・デイヴィスは、1977年以来たびたび南極大陸で現地調査を続けてきた。従来、ペンギンは一夫一妻で、つがいは一生添い遂げるというのが俗説だった。だがデイヴィスは、長年の調査を通して、ペンギンには離婚や同性愛、不倫、売春といえるような関係性が存在することを突き止めた。

ところが2012年、約100年前のイギリスのスコット南極探検隊に参加し、南極でペンギンを観察した医師・動物学者ジョージ・マレー・レビックによる、未刊行の論文が発表される。そこには、デイヴィスが自ら発見したと思っていたペンギンたちの奔放な性生活が記録されていた――。

史上初の「ペンギン生物学者」であるレビックが行ったペンギン研究はどのようなものだったのか。なぜ、その成果の一部が100年ものあいだ伏せられていたのか。その謎に迫るのがデイヴィスの著書『南極探検とペンギン――忘れられた英雄とペンギンたちの知られざる生態』(青土社)だ。南極探検隊とペンギンたち、その足跡を追う著者デイヴィス自身の足取りがダイナミックに交錯する、まさにペンギン叙事詩である。

今回ゲンロンカフェでは、本書の刊行記念として、ペンギン会議研究員の上田一生氏、翻訳家の夏目大氏、文筆家・編集者の吉川浩満氏をお招きする。

上田氏は、ペンギンに関する著作、水族館や動物園の展示監修、テレビ番組・映画の監修や出演など、40年以上にわたってペンギンの調査や保全活動を続けている。原著者デイヴィスとも親交がある、ペンギン研究の第一人者だ。
本書を翻訳した夏目氏は、大のペンギン好きが高じて、翻訳依頼を二つ返事で引き受けたそう。夏目氏がゲンロンカフェに登壇するのは、同じく氏が翻訳を手がけた『タコの心身問題』をめぐるイベント以来、2度目。
理不尽な進化 増補新版』をはじめ生物にまつわる著作も多く、動物愛好家でもある吉川氏とともに、本書について、ペンギンの魅力について、たっぷりと語り合っていただく。

ゲンロンカフェのペンギン教室、ここに開講!

※ 放送のみ(会場は無観客)のイベントです。

 

南極探検とペンギン
ロイド・スペンサー・デイヴィス 著、夏目大 訳『南極探検とペンギン――忘れられた英雄とペンギンたちの知られざる生態』(青土社)

上田一生 Kazuoki Ueda

1954年、東京都出身。小学生時代は「ガの採集」、中学生時代は「日本の野鳥(特にコサギ)の観察」などをして過ごす。高校生の時にペンギンを調べ始める。以来50年間、ペンギンとともに暮らしている。大学では「近世ヨーロッパ史(特に三十年戦争)」を学び、その後「近現代の日本の軍事史」も学んで地方史編纂などを行う。仕事としては、40年間、都内の私立高校で社会科教員として勤務。2020年4月からは、公益財団法人東京動物園協会の教育普及センターに勤務。職場は上野動物園内。1988年、第1回国際ペンギン会議(ペンギンに関する最初の国際学会)に参加し、ロイド・デイヴィスと出会う。1990年、日本で「ペンギン会議(PCJ)」を設立し研究員となる。2016年以降、国際自然保護連合(IUCN)の「ペンギン・スペシャリスト・グループ」メンバーとして活動中。

夏目大 Dai Natsume

1966年生まれ。翻訳者。おもな訳書『タコの心身問題』(みすず書房)、『エルヴィス・コステロ自伝』(亜紀書房)、『探して!見つけて!はじめての元素図鑑』(河出書房新社)、『Think CIVILITY』(東洋経済新報社)、『あなたの人生の意味』(早川書房)、『ダーウィン『種の起源』を漫画で読む』(いそっぷ社)、『南極探検とペンギン』(青土社)、『6時27分発の電車に乗って、僕は本を読む』『世界一しあわせなフィンランド人は、幸福を追い求めない』(ハーパーコリンズ・ ジャパン)、『「男らしさ」はつらいよ』(双葉社)など。

吉川浩満 Hiromitsu Yoshikawa

1972年生まれ。文筆家、編集者、配信者。慶應義塾大学総合政策学部卒業。国書刊行会、ヤフーを経て、文筆業。晶文社にて編集業にも従事。山本貴光とYouTubeチャンネル「哲学の劇場」を主宰。
著書に『哲学の門前』(紀伊國屋書店)、『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である 増補新版』(ちくま文庫)、『理不尽な進化 増補新版』(ちくま文庫)、『人文的、あまりに人文的』(山本貴光との共著、本の雑誌社)、『その悩み、エピクテトスなら、こう言うね。』(山本との共著、筑摩書房)、『脳がわかれば心がわかるか』(山本との共著、太田出版)、『問題がモンダイなのだ』(山本との共著、ちくまプリマー新書)ほか。翻訳に『先史学者プラトン』(山本との共訳、メアリー・セットガスト著、朝日出版社)、『マインド──心の哲学』(山本との共訳、ジョン・R・サール著、ちくま学芸文庫)など。

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