ゲンロン 大森望 SF創作講座 第7期#3第3回

「ゲンロン 大森望 SF創作講座」の授業です。担当講師は円城塔先生、水上志郎先生、大森望先生です。

【スケジュール】

1限 19:00-20:00:講義

2限 20:10-22:10:梗概講評会

3限 22:20-23:20:実作講評会

【梗概講評会】

「2回以上ひねりなさい」

 分量の感覚がつかめるまでは、どうしてもだらだらと書き進めてしまいがちです。途中で書くことがなくなったり、登場人物が迷子になったり、話が進まなくなったり、とりあえず夢に突入してみたりします。結果、オチがなかったり、続きモノになったり、途中で提出したりすることが増えます。

 どこかでオチをつかみましょう。かならずしも最初からオチを決めて書く必要はありませんが、書いている途中でオチが変わった場合は、最初まで戻り、設定まで含めて見直して下さい。

 どうも、1回ひねってオチ、となる傾向が強いようです。
 なんだかただのいい話(苦労をしたが報われた)や、唐突に終わる話(死んだ)になりがちなので、多段オチに挑戦してください。
(16,000字あれば2回くらいはひねるものです。)
 ひねるとはなんぞや、という話になりそうですが、「善人に見えた人物が実は悪人だったが、それにも裏があった」とか、「ここまでの話は夢だった、という劇だった」とか、「実は○○だった、しかし〜」型みたいなことです(この形にとらわれる必要はありません)。

 何かの区切りを設定することで、全体の中での要素の配置や、効果的な場面転換、キメゼリフや印象的な場面の配分などを意識してもらうことが狙いです。

(円城塔)

提出作品一覧はこちら

 
ゲンロン 大森望 SF創作講座 – ゲンロンスクール
SF創作講座2023課題 – 超・SF作家育成サイト
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円城塔 Enjoe Toh

写真提供=新潮社
1972年、札幌生まれ。研究者を経て作家。SF、純文学問わず広く活動中。主な著書に、『Self-Reference ENGINE』(文藝春秋、2014年 Philip K. Dick Award 特別賞)、『烏有此譚』(講談社、第32回野間文芸新人賞)、『道化師の蝶』(文藝春秋、第146回芥川龍之介賞)。訳書に、チャールズ・ユウ『SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと』(早川書房)。近作に『シャッフル航法』(河出書房新社)、『エピローグ』(早川書房)、『雨月物語』(河出書房新社、池澤夏樹個人編集日本文学全集所収)、『プロローグ』(文藝春秋)。

水上志郎(竹書房) Shiro Mizukami

東京都生まれ。2000年代に竹書房へ入社(明確な年は不明)。美少女フィギュア雑誌、韓流ドラマムック、華流ドラマムック、官能小説、海外ロマンス小説などの編集を経験したのち、2015年にオールディス『寄港地のない船』を皮切りに海外SF作品の刊行をスタートする。現在では国内SFも担当。国内の主な作品に大森望編〈ベストSF〉シリーズなど。変な話が好き。

大森望 Nozomi Ohmori

1961年高知生まれ。書評家・SF翻訳家・SFアンソロジスト。〈ゲンロン 大森望 SF創作講座〉主任講師。著書に『21世紀SF1000』、『新編・SF翻訳講座』、《文学賞メッタ斬り!》シリーズ(豊崎由美と共著)、《読むのが怖い!》シリーズ(北上次郎と共著)など。アンソロジーに《NOVA 書き下ろし日本SFコレクション》《不思議の扉》の各シリーズのほか、『星雲賞SF短編傑作選 てのひらの宇宙』など。訳書にコニー・ウィリス『ブラックアウト』『オール・クリア』など多数。2013年には『NOVA』が第34回日本SF大賞特別賞を受賞。